今月、硬筆書写技能検定3級に一発合格したばかりの香(@ouchipenji)です。
SNSのフォロワーさんから、ブログに3級の勉強法を書いてほしいとのリクエストがありましたので、まとめておきます。
少々長くなりますので、関心のあるところだけでもぜひ読んでみてくださいね!
3級受験対策に役立つ書籍
問題集
3級受験のための問題集は、下記の2冊があれば十分でした。
硬筆書写技能検定3級のドリル(一般財団法人 日本書写技能検定協会編)
ボリュームは少ないながらも、一通り3級の試験対策が可能な書き込み式ドリルです。
硬筆書写技能検定の公式サイトから購入可能です。
3級合格のポイント(狩田巻山著)
3級の練習問題(過去問)だけでなく、付録や3級〜1級までの6回分の過去問も掲載されている、ページ数・内容共に充実の問題集です。
追記:硬筆書写技能検定3級公式過去問題集(一般財団法人 日本書写技能検定協会編)
私が受験した頃にはまだ発売していなかった、公式の過去問題集です。
直近過去2年分・全6回の試験問題と答案例・解答およびポイント解説が収録されています。
当時あったら真っ先に購入しておきたい問題集でした。
参考書
硬筆毛筆書写検定 理論問題のすべて(江守賢治著)
タイトルどおり、理論問題(第7〜10問)の勉強に役立つ参考書です。
3級合格という目的のみであれば、購入は必須ではないでしょう。
より上の級を目指すのであれば、買っておくべき一冊だと感じます。
字典
筆順付き 硬筆新字典(田中鳴舟著)
分からない行書を確認するために、日ペンのボールペン習字講座についてきた硬筆新字典を使っていました。
日ペンの会長である田中鳴舟先生が全編執筆されています。
がくぶんモールより購入可能↓
筆順付き 硬筆新字典 田中鳴舟【日本ペン習字研究会・日本書道学院公式通販】
3級のドリルも合格のポイントも、実技の練習問題の解答はありませんので、第2問・第3問の答え合わせには必須のアイテムでした。
ちなみに、3級合格のポイントには「常用漢字の行書」のページがあるので、字典が無くても勉強は可能かもしれませんが、やはり字典の引きやすさには敵いません。
楷行草 筆順・字体字典(江守賢治編)
漢字の筆順が分からないときには、楷書、行書、草書のそれぞれの筆順が載っている筆順字典があると便利です。
日ペンの硬筆新字典には楷書の筆順しか載っていないため、初めて行書を学んだときには筆順に悩む漢字もありました。
練習と本番に使用したペン
第1〜5問:ぺんてる エナージェル 0.4mm
ペン習字を始めて間もない頃から愛用しているぺんてるのゲルインキボールペン、エナージェル。
- なめらかな書き心地
- 速乾性に優れている
- 黒インクが濃い
線が細すぎるのは苦手で、太すぎるのも書き慣れていない私は、ボール径0.4mmがお気に入りです。
普通のエナージェル。
デザインが可愛い、エナージェルクレナ。
練習から本番まで、第1〜5問はエナージェルクレナ0.4mmを使っていました。
第6問:コピック チャオ 100
第6問の掲示で使う筆記具は、油性または耐水性顔料のマーカーとの指定があります。
練習を初めた頃は、マッキーなどの一般的な油性マーカー(マジック)数種類で書き比べをしました。
しかし、コピックの強弱のある線の方が見栄えが良かったので、本番もコピックを使うことにしました。
- 筆ペンのような書き味
- 上級者も掲示作品に使うことが多い
- 筆ペンに慣れていないと扱いが難しい
- 最初はインクが出過ぎる
- インクの減りも早い
2ヶ月での硬筆検定3級の勉強方法
3級申し込み以前に行ってきたペン字学習
私が3級の試験勉強を開始したのは2020年9月。
それまで3級のための勉強はしてきませんでしたが、ペン字を始めて1年9ヶ月経っていましたので、初心者レベルは脱したと言える状態からのスタートでした。
硬検3級申し込み前に行ってきた学習
- 日ペンのボールペン習字講座(2018年12月〜2019年6月:6ヶ月)
- 競書誌「ペンの光」(2019年6月〜:1年3ヶ月、規定部三段)
- 日ペンの速習筆ぺん実用講座(2020年1月〜8月:8ヶ月)
- 基礎練習(継続が苦手で、気が向いたときだけ…)
- Twitterの書写のお題で自運の練習(余裕のあるときに)
小さい子どもがいるため、あまり練習できない日も多いのですが、ほぼ毎日何かしら書くことは続けてきました。
3級申し込み後に行った主な勉強とスケジュール
9月後半
- 3級申し込み完了
- 「硬筆書写技能検定3級のドリル」を解く(1周目)
10月
- 「硬筆書写技能検定3級合格のポイント」を解く(1周目)
- 「硬筆書写技能検定3級のドリル」を解く(2周目)
- 3級頻出の漢字(行書)の練習
- 受験票到着
11月前半
- 「硬筆書写技能検定3級合格のポイント」を解く(2周目)
- 3級頻出の漢字(行書)の練習
- 証明写真撮影
- 試験本番
3級問題別の対策
第1問:速書き(115字)
問題を解きながら、時間配分とより美しく書くことのバランスを探りました。
問題を解く以外に速書きの対策はしていませんでした。
行書が不安な私は楷書で書いていましたが、点画を普段どおり丁寧に書いていると時間が足りなくなります。
ミスなく他人に読めるレベルの文字を書くことを意識しつつ、スピード重視で。
文字数が少ない3級なので、書き終えられないということはほぼありませんでしたが、逆に時間を余らせてしまうことはよくありました。
時間の計測には以下の学習用デジタルタイマーを使っていました。
カウントアップやカウントダウンはもちろん、試験までの残り日数も表示できます。
第2問:楷書と行書(各10字)ますめ
まずは問題を解き、解き終えた後に一字ずつ字典を引いて正しい字形を確認する作業を繰り返しました。
「硬筆書写技能検定3級合格のポイント」の「硬筆書写技能検定3級の傾向と対策」ページ記載の、第2問で多く出題された漢字を事典で調べてノートに書き出し、行書を覚える勉強も効果ありでした。
第3問:縦書き 漢字仮名交じり文(45字)
とにかく行書が一番の懸念点でしたので、第2問同様、問題を解いた後に字典で正しい漢字(行書)を毎回確認しながら覚えていきました。
第4問:横書き 漢字仮名交じり文(60字)
行頭・行尾・文字の中心を揃えるように意識しながら、問題を解きました。
また、「ペンの光」の受験部(横書き)が、第4問対策に直結しました。
お手本を見ながら何度も同じ課題を練習することで、苦手意識の強かった横書きも徐々にではありますが上達してきました。
↑「ペンの光」2020年10月号 受験部 次点作
第5問:はがきの宛名書き
文字の大きさ・位置・間隔を、問題集の解答例を見ながら覚えました。
覚えたところで実際に書くことは難しいので、何度も問題を解いて慣れていくしかありません。
住所が1行になる場合と2行になる場合、それぞれどの辺りから書き始めればよいか、確認しておくと良いでしょう。
「市」「町」「様」などの毎回出てくる漢字は、一度字典で調べておくと安心です。
第6問:掲示 横書き(数行)
「硬筆書写技能検定3級のドリル」第6問の「レイアウト例」を覚え、下書き線を書けるようにするところから始めました。
「ペンの光」の掲示部も第6問対策に直結していて、お手本を見ながら繰り返し同じ課題を練習することで、多少掲示のコツがつかめてきました。
↑「ペンの光」2020年10月号 掲示部 次点作
第7問:漢字の部分の名称
「硬筆書写技能検定3級のドリル」の第7問の練習問題を、完璧に覚えるまで繰り返し解きました。
実際の試験問題は選択式ですが、記述式で書けるようになっておくと迷いなく答えを判別できるので、これだけは絶対におすすめしたい勉強法です。
覚えづらい名称は、「硬筆毛筆書写検定理論問題のすべて」の「漢字の部分の名称の説明」を読むことで、成り立ちを理解できました。
・・・読めばお分かりいただけるでしょうが、「たまへん」を完璧に覚えることができたのはこの本のおかげです(笑)
第8問:漢字の筆順(楷書)
数多くある漢字の筆順を完璧に覚えることは不可能でしたから、問題を解いて間違って覚えていた筆順を覚え直すことに注力しました。
「硬筆書写技能検定3級合格のポイント」の、「三級向け筆順一覧表」を眺めることも効果的でした。
第9問:草書を読む(文の中で)
ただでさえ余裕がない中、草書に時間を割くのはもったいなかったので、問題を解く以外の勉強はしませんでした。
ペンの光の漢字部(三体)でお手本を見ながら草書を書く以外に、特別に草書の勉強をしたことはありませんでした。
草書を覚えようという気もなかったので、お手本なしでは到底書けませんし、読みも怪しいです。
それでも3級の場合、文の中で読む形で出題されるので、文脈や選択肢から推測可能です。
第10問:漢字の字体(◯✕で答える)
問題を多く解いて見慣れておくことが重要です。
私が普段学んでいる日ペンの書きぶりとは異なるので、正しいものについても「日ペンならここはもっとこう書くはずだけど・・・?」と、最初は戸惑いました。
「硬筆書写技能検定3級合格のポイント」の、訂正すべき文字がまとめられたページで正誤を見比べてみるのも勉強になりました。
さいごに
独学での3級受験でしたので、自分がやりやすい方法で勉強を進めてきました。
私にとっては合格に結びついた勉強法ではありましたが、より良い勉強法があると思いますし、真似したからといって合格できるという保証は出来かねます。
私自身が3級を受験するにあたって、
と気になっていたこともあり、この度3級受験の一連の記録を書き残しておくことにしました。
3級合格者のほんの一例として、参考になる部分が少しでもあれば幸いです。