昨年、硬筆書写技能検定2級に独学で一発合格した香(@ouchipenji)です。
昨年1月末の受験で、12月から2級の勉強を始めましたが、毎日検定の勉強が出来たわけではありませんでした。
最低限の勉強しか出来ていなかった中でどうやって合格にこぎつけたのか、練習した実際の画像と共に紹介していきます。
「この程度でも合格可能なんだな〜♪」と、今後2級を受験される方の不安が少しでも軽減されれば幸いです。
硬筆書写技能検定2級受験にあたって
ペン字歴
2級受験時は、ペン字を始めて2年が過ぎた頃でした。
ペン字の教室に通ったことはなく、通信や独学での学習を継続してきました。
- 日ペンのボールペン習字講座 修了(2018.12〜2019.6)
- 競書誌「ペンの光」(2019.6〜) 規定部五段
- 硬筆書写技能検定3級合格(2020.11)
2級受験のタイミングに悩んだ
私が硬筆検定を初めて受験したのは2020年11月、3級からのチャレンジでした。
11月末に3級合格、次の試験は1月末で受けるか受けないか非常に迷いました。
子どもの冬休みと年末年始も挟むため、さらに学習時間の確保は難しくなりそうで、短期間で2級合格できる自信はありませんでした。
しかし、春は多忙となることが確定していたため、6月受験は厳しく・・・。
11月だと間が空きすぎて一からやり直しになってしまいそうでしたので、ダメ元で1月受験を決めました。
「書写能力診断テスト」を受けた
まずは、2級に合格できる可能性があるのか確かめたく「書写能力診断テスト」を受けることにしました。
診断テストの結果の返送は1月受験の申込締切よりも後だったため、結果を確認してから受けるか受けないか決めるということはできませんでした。
不安ながらも、2級の申込みだけは済ませておきました。
そして、後日返送された診断テストの結果は合格ラインを超えており、自信を持てました。
日数が少ないので取捨選択
各問題を満遍なく学習する余裕はありませんでしたので、思い切って取捨選択することにしました。
3級の勉強は一通りやってきて合格も出来たので、3級レベルの実力と知識は備わっているはず・・・としておきまして。
2級合格に足りない部分を3級の土台に上積みしていくイメージで、2級で新たに覚えなければいけない問題を重点的に学習していきました。
主な勉強とスケジュール
12月
- 「書写能力診断テスト」申し込み・実施・返送
- 2級申し込み完了
- 「硬筆書写技能検定2級のドリル」を解く
- 平仮名のもとの漢字を覚える
- 旧字体・書写体を覚える(読み)
- 楷書の筆順を覚える
1月
- 「硬筆書写技能検定2級のドリル」を解く
- 書写体を覚える(読み)
- 「書写能力診断テスト」返却
- 受験票到着
- 試験本番
2級受験に使用した書籍など
問題集
2級受験のために購入した問題集は、以下の2冊でした。
硬筆書写技能検定2級のドリル(一般財団法人 日本書写技能検定協会編)
メインで取り組んだ問題集です。
薄いドリルですが、問題を解くにはこの1冊があれば十分でした。
硬筆書写技能検定の公式サイトから購入可能です。
1・2級合格のポイント(狩田巻山著)
主に、各問題のポイントを確認するためと、旧字体・書写体の一覧表を使用しました。
事前にポイントに目を通しておくことで、少ない勉強時間でも効率良く学習できました。
字典
筆順付き 硬筆新字典(田中鳴舟著)
普段から愛用している字典です。
行書の字形はこの字典でその都度確認していました。
がくぶんモールより購入可能↓
筆順付き 硬筆新字典 田中鳴舟【日本ペン習字研究会・日本書道学院公式通販】
楷行草 筆順・字体字典(江守賢治編)
第7問の筆順を確認するのに便利でした。
「博」などの筆順が2つ以上ある字について、複数の筆順が載っているので助かります。
用紙
2級に合格した方から、ありがたいことに未使用の2級用の練習用紙をお譲りしていただけました。
いやはや、重宝しました!
3級のときは問題集をコピーして練習していましたが、こちらの練習用紙を使った方が断然勉強が捗りました。
本番と同じ紙質で書き味も良いですし、気分も高まります。
いずれ上の級を受験する際には、絶対に練習用紙を購入しようと決意しました。
各級の練習用紙は、硬筆書写技能検定の公式サイトから購入可能です。
2級問題別の対策
第1問:速書き(125字)
3級よりも文字数が増え、時間がギリギリになってしまいがちでした。
とはいえ、速書きは多少雑でも最後まで書き終えれば問題ないとの認識でした。
速書きに時間を割いていられませんでしたし、本番は気合で乗り切ればいけるだろうということで・・・。
12月中に3問、試験前日に2問練習しただけでした。
第2問:楷書と行書(各10字)
ますがあった3級とは異なり、わく内に5つの語句(10字)をバランス良く収めることが難しく、何度か書いて慣れるようにしました。
また、1月受験なので、冬〜春っぽい漢字が出やすいだろうと推測し、1月実施の過去問を中心に行書を復習しました。
12月中に4問、1月中に8問書きました。
第3問:縦書き 漢字仮名交じり文(50字)
2級は3級と異なり、「平仮名は連綿で書いてもよい。」とされています。
そう書かれていると、やはり連綿に挑戦したくなってしまいます。
しかし、連綿を自運でスラスラ書けるレベルには達していませんでしたので、背伸びせずに書けそうな連綿だけ交えて書くことにしました。
12月中に1問、試験前日に2問書いたのみでした。
第4問:横書き 漢字仮名交じり文(65字)
行尾を揃えるのは苦手でしたが、診断テストは評価4(十分合格できる実力があると判断できる)でした。
他の問題に時間を割くべきだと判断し、12月に1問、試験当日に2問書いたのみでした。
第5問:はがきの通信文(90字)
実技で一番自信がなかったのが、この第5問でした。
書体の指定はありませんが、せっかくの手紙なので行書連綿で書きたくて、あやふやながらも挑戦してみることにしました。
普段は罫線や補助線に頼った練習をしているので、最後まで体裁よく書けずに苦戦しました。
12月中に4問、1月中に4問練習しました。
第6問:掲示 横書き(数行)
試験前日に1枚だけ書きました。
診断テストで唯一の評価5(十分以上の答案であると考えられ、とても優れている)だったこともあり、現状維持でOKだろうと判断しました。
使用したペンは、コピックチャオです。
第7問:漢字の筆順(楷書と行書)
行書は、普段から筆順やつながりを意識して練習していたため、誤った筆順の場合には違和感が。
そのため、特に覚えなくても大丈夫でした。
問題は楷書の筆順でした。
3級では問われなかった正しい筆順が2つ以上ある字は、出題されやすいです。
そこで楷書は、筆順が2つ以上ある字に絞って覚えていきました。
- 「1・2級合格のポイント」で「筆順が2つ以上ある字(楷書)の主なもの。」の一覧が載っているページを確認しておく
- 問題を解いて、自信がなかったり誤ったりした問題はきちんと筆順を調べ、答え合わせをしながら書いて覚えるようにする
上記2つの対策で、筆順はどうにかなりました。
第8問:旧字体・書写体を読む
2級受験にあたり、一番時間と労力を割いたのが旧字体・書写体の暗記でした。
「1・2級合格のポイント」に載っている、旧字体の一覧表2ページと書写体の一覧表3ページの漢字を覚えていきました。
覚えるといっても、2級では旧字体や書写体を書かせる問題は出題されません。
例えば、「佛」という旧字体は「仏」であるということを、一つ一つ暗記していきました。
旧字体
旧字体の方が書写体より数が少なく取り掛かりやすかったので、先に覚えることにしました。
惡=悪や氣=気のように形が似ているものは、わざわざ覚えなくても大丈夫ですので、覚える必要がある旧字体は実際それほど多くありません。
また、昔中国語を学んでいて若干ですが繁体字に触れる機会もあったため、分かる漢字もありました。
畫=画や黨=党などの結び付けづらい漢字は、繰り返すことで覚えていきました。
暗記には、スマホの単語帳アプリを活用しました。
旧字体はスマホでも変換できますので、表は旧字体、裏は常用漢字を一字一字入力し、登録していきました。
書写体
混乱しないよう、旧字体を一通り覚えた後に取り掛かりました。
旧字体を覚えたことで分かるようになった漢字もありましたので、先に旧字体を覚えたのは正解でした。
書写体はスマホで文字変換できないため、旧字体と同じアプリは使いませんでした。
代わりに、アンキスナップというボールペンを購入しました。
このペンで書いて、専用アプリで撮影すると、書いた部分がマスキングされるのです!
詳しくは公式サイトより→http://ankibungu.jp/
上手くマスキングされずに手で調整しなければならないなど、使い勝手の悪さはありましたが、暗記には役立ちました。
トイレの壁に貼る作戦
何度も間違う漢字は、自宅のトイレの壁に貼っておいて覚えました。
なんと、本番はトイレで覚えた中から何問か出題されました!
第9問
A 草書を読む
草書の読みは、勘に頼って捨てることにしました。
草書を全て落としたとしても他でカバーできる見込みがありましたし、草書を読めるようにするには到底時間が足りなかったからです。
B 平仮名のもとの漢字
ここはたった48字を覚えさえすれば確実に満点を取れる問題ですので、完璧に覚えるようにしました。
ひらがなの基礎練習を兼ねて、ひらがなを書いた隅にもとの漢字も一緒に書いていく方法を繰り返すことで覚えていきました。
最初は、お手本の脇に書き加えた字母を見ながら書いていきましたが、繰り返しているうちに隠しても書けるようになってきました。
C 漢字の部分の名称
3級で何度も繰り返しやって覚えていたので、改めて勉強はしませんでした。
第10問:漢字の字体
こちらも3級で勉強しており、毎回正答率も高かったので、何もしませんでした。
まとめ
私なりの硬筆検定2級対策をまとめると、以下になります。
実技
- ますがなくても三体は揃えて書けるようにする
- はがきの通信文はポイントを抑えてバランス良く書けるようにする
- 連綿は無理のない程度に交えてみる
理論
- とにかく旧字体・書写体を頑張って覚える
- 平仮名のもとの漢字は完璧にしておく
- 2つ以上筆順がある字は要チェック
2級と3級、どちらから受けるか迷っている方もきっと多いことでしょう。
私の場合、初めに3級を受けていたことで、2級受験時は3級との差分の対策だけで済みました。
いきなり2級を受けていたら、学習が疎かになってしまった部分もあったでしょうし、特に実技の不安は大きかったと思います。
自信がない方は、焦らず3級から着実に取り組んでいくことで、2級はより不安の少ない状態で挑めるようになるはずです。
さいごに
一年経った今、当時書いたものを見たら、下手で驚きました(笑)
ということは、2級は1級のような高いレベルを求められていないとも言えますね!
それなりの基礎があり、ポイントを抑えて問題を解いて慣れておけば、短期間の学習でも合格可能です。
また、2級受験以降に検定の実技対策などはしておりませんが、今なら1年前よりはどの問題も美しく書ける自信があります。
日頃からコツコツ字を書く練習を続けていれば、実技に関しては自然と上達してくるものです。
実力がつくのを待ち、軽々と上位合格を狙うのも一つの手だろうなと、ふと思いました。