日ペン規定部準師範の香(@ouchipenji)です。
上位の賞に選ばれる方は、いったいどんな練習をしてきたのだろう?
展覧会のための練習方法が分からず、自己流で不安を抱えながら練習をしていた私は、ずっと疑問に思っていました。
そんな私が思いがけず、第85回記念全日本ペン書道展で、上位の賞に選んでいただけました。
- 規定部1部・・・会長奨励賞・奥田潜菴賞
- 筆ペン部2部・・・師範会賞
- 手紙文部1部・・・会長奨励賞
忘備録を兼ねて、ペン展期間中にやってきたことや感じたことを、ざっくばらんに書き連ねていきます。
「これをやればあなたも上位に!」なんていう秘訣は一切ありませんが、私の経験談が何かしら練習のヒントになればいいなと思います。
↓出品作品と結果はこちら
1月下旬に出品用紙を購入
ペンの光2月号が、1月25日に届きました。
その日のうちに早速、出品したい部門と課題の目星をつけました。
- 規定部1部→横書き苦手なので、縦書きの課題D
- 筆ペン部2部→必然的に課題W
- 手紙文部1部→出品迷いながらも、出すなら連綿の参考文Q
2月号の裏表紙に、「全日本ペン書道展一般部出品用紙のご案内」が載っています。
実物大で印刷が鮮明なお手本がついてくるので、用紙を注文しないことには始まりません。
翌日の1月26日には、メールで出品用紙(料紙)を注文しました。
最初に注文した用紙
【出品用紙】
商品番号/出品部門/色/枚数/数/金額
31-339/規定1部/白/手本A〜E付・1組50枚/1組/770円
31-495/筆ペン2部/白/手本付・1組20枚/6組/660×6=3,960円
31-590/手紙文1部/罫線入・白/手本Q,台紙付・1組20枚/1組/880円
【料紙】
商品番号/商品名/用紙寸法/色/数/枚数/金額
39-184/加工〜七宝〜/68.0×26.0/柿色/手本A~E付1組10枚/1組/2,250円
39-185/上質〜紗綾〜/68.0×26.0/薄浅葱色/手本A~E付1組10枚/1組/2,150円
合計:10,010円
規定1部サイズ(68.0×26.0cm)の料紙は2種類ありました。
まずは実物を確認したく、「加工〜七宝〜」と「上質〜紗綾〜」の両方とも注文することに。
筆ペン部は去年用紙が足りなくなったので、多めに。
手紙文部はまだ迷っていたので、とりあえず1組のみで。
そして、注文から2日後の1月28日には、用紙が届きました。
2月上旬に有料添削をお願いした
用紙とお手本が届いたら、次やるべきことは、なるべく早めに添削を依頼することです。
よりよい作品を仕上げるには、添削は必須だと思っています。
お教室に通われている方は、審査員をされているような先生に何度も見ていただき、完成度を高めていくわけです。
ペンの光の2,5,8,11月号に掲載されている「有料添削規定」より、ペン展作品も添削を受けることが可能です(断られたという話は聞いたことがありません)。
添削料含め、予めお願いしたい先生に確認しておけば確実です。
- 1月29日に練習開始
- 1月31日に郵便為替購入
- 2月2日に作品を投函
ちょうどコロナが流行していた時期でもあり、我が家もいろいろと大変でした・・・。
幼稚園がまたいつ臨時休園になってもおかしくない状況でしたし、先生もご多忙ですぐに添削できない場合もあるでしょうから、とにかくスピード重視で。
私は毎回同じ先生に添削をお願いしているので、どの先生に見ていただくか迷うこともありませんでした。
いつもなら1週間以内には返却されていましたが、今回は12日かかって2月14日に戻ってきました。
添削のおかげで今回の賞をいただけたと言っても過言ではありません。
先生には言葉では言い表せないくらい、感謝の気持ちでいっぱいです。
雅印を新調した
初めての雅印を用意したのが2年前。
安さ重視だったため、上達したら新調したいと考えていました。
いよいよ新しい雅印が欲しくなってきて、2月に作っていただきました!
雅印の詳細は、また別の記事で紹介するのでお待ち下さいね(記事のアップが追いつかない〜)!
春休み中の対策
毎年ペン展を阻むもの・・・それは春休み!
日中は毎日息子と二人きり、実家は遠いのでちょっと見てもらうなんてことは無理です。
4歳になり、お昼寝もほぼしなくなりました。
日中に練習時間を確保することは、ペン展の結果を左右する重要な課題でした。
そんな中、救世主となったのは以下の2つ!
テレビや動画がすっかり大好きになってしまった息子。
普段はamazonのプライムビデオを見ることが多いのですが、春休み中はU-NEXTの31日間無料トライアルを利用してみました。
息子が好きな戦隊ヒーローや子ども向けアニメが、プライムビデオよりもたくさん!
ニンテンドースイッチのソフト、「星のカービィ スターアライズ」。
マリオだと4歳児が1人で遊ぶのはまだ難しいですが、こちらのカービィならば敵が仲間になってくれるシステムがあるので、1人で遊べるステージも多いです。
普通のおもちゃだとすぐに飽きてしまいがちな息子も、一人でのめりこんでいました。
・・・さすがに1日中ずーっとというわけにはいきませんけどね。
息子がテレビやゲームに飽きるまで、私は机に向かうことができるようになりました。
清書のスケジュール
計画的だと思われがちな私ですが、細かいスケジュールを立てることは苦手です。
エンドを決めて、細かいことはさておき、逆算して間に合わせるようにしています。
今年のGWはしっかり休むべく(というか家族が休みでずっと家にいると清書は厳しい)、大まかに以下のようなスケジュールを立てていました。
- 4/8 始業式
- 4/11〜4/15 半日登園
→後半に本命の規定・筆ペンを頑張るため、手紙文部の清書終わらせる - 4/18〜4/22 一日登園
→規定部と筆ペン部の練習本気出す、筆ペン部昇格試験も着手する - 4/23 筆ペン講習会
→出来ればペン展作品を添削していただきたい - 4/25〜28 GW前最後の週
→規定部と筆ペン部の清書終わらせる - 5/2 GW中の平日
→郵便局が開いているこの日までには、作品郵送したい
規定部1部
スタート時点で勝負はおおかた決まっている
ペン展の要項が発表されて、みんな揃ってペン展のスタートラインに!
・・・ではなく、その時点ですでに大きな差が付いていたことに気付かされました。
今年書いた1枚目が、去年の出品作品を上回っていたことに、衝撃を受けました。
1000m走で去年がゼロからのスタートだとしたら、1年かけて実力を伸ばしてきた今年は500mからの有利なスタート。
同じ部門に2年連続で挑戦したからこそ、1年間どれだけ実力を伸ばせたかで勝負は決まるのだと、強く感じました。
目標は1日1枚
昨年も同じ1部に出品したのですが、一番の反省は書き込みが圧倒的に足りなかったことでした。
1組50枚の出品用紙も、半分以上余らせてしまいました。
まずはこの罪庫を今年は全部使ってあげなければと、「なるべく1日1枚」を目標に掲げました。
ただ枚数を書けばよいというものでもありませんが、書かないことには始まりません。
そして、去年は清書で何枚も失敗してしまったので、「1枚通して書くことに慣れる」目的もありました。
去年は1枚書くのに1時間弱かかるのが負担で、情けないことにあまり書く気になれませんでした。
しかし、今年は文字数が少なかったおかげと、つけペンの扱いに慣れたこともあってか、1枚30分弱で書けるようになりました。
30分の差はだいぶ大きくて、30分弱だと息子が遊びに集中しているうちに書くことも、場合によっては可能となりました。
お手本を作り直した
昨年一部の添削を受けたときに、お手本通りに書いたのに朱が入っている箇所が多数あり、どうやら「お手本通りに書くことが全てではなさそう」ということに気づいてハッとさせられました。
お手本通りに書くことしかできなかった私でしたが、この1年で何となくですが「お手本通りじゃなくてもよい」ということが分かってきました。
また、課題文の文章を読んだイメージから、
- 穏やか
- 爽やか
- 優しさ
- 寂しさ
- 雄大さ
- 堂々と
- 凛とした
・・・こんな雰囲気を出して書いていきたいな!と思いました。
私は日ペンのボールペン習字講座でペン字を始め、普段から日ペンの硬筆新字典を愛用しているので、自ずと田中会長先生の書きぶりが規範となっています。
日ペン流に自分らしさを加えた作品を仕上げるべく、お手本を作り直すことにしました。
元の構成などは最大限に活かしたく、極力そのままに。
出品用紙を買ったら付いてきた田中先生の手本Aから、対応する字をチョキチョキ・・・
返却された添削作品をコピーして、脇に朱で書いてくださった文字をチョキチョキ・・・
見つからない字は、ペンの光や本から探してコピーしてチョキチョキ・・・
元のお手本にスティックのりでペタペタ。
切り貼りは結構手間でしたが、この手間を惜しまなかったからこそ、今回の賞に繋がったと思っています。
下敷きを作り直した
清書直前に、思い切って下敷きを作り直しました。
左右の余白がお手本よりも若干広く空いてしまっていたことに気づいたからです。
せっかく作り直すならばと、より正確さを求めて方眼紙を使用しました。
等間隔に中心線と5ミリ幅の補助線を引き、出品用紙に貼り付けました。
ちなみに私はヨコ線はほとんど入れない派です。
どうも縮こまってしまい、伸び伸び書けなくなってしまうからです。
料紙に合ったペン先にチェンジ
出品用紙に練習していたときは、「日光 ポイントハード クローム(No.360)」を使っていて、清書もこのペン先を使うつもりでいました。
やや強弱は出にくいのですが、引っかかりもなく安定して書けるところが気に入っていました。
しかし、料紙(上質紙)に書くと、どうも線質が微妙で・・・。
土壇場になって、手紙文部で使ったのと同じ「日光 サジクローム(No.357)」にチェンジしました。
こちらの方がより線が綺麗に出たからです。
ちなみに、ペン先には当たり外れもあるので、グロス(144本)で購入しています。
清書の際は、見た目に問題がなく、書きやすいペン先を選び、使用しました。
筆ペン部2部
力強い線を意識
昨年ペン展に行って上位の方と見比べたときに、私の作品は何だかこぢんまりとして見えました。
多くの同じ作品が展示される中、文字が小さく弱々しいと見劣りすると感じました。
- 字粒が小さくなりすぎないように
- 入筆が弱くならないように
これらを最低限心がけて練習しました。
料紙(加工紙)はいつもの筆ペン用の出品用紙よりも線が細く出てしまいました。
行書の課題の時に使うことの多かった「ぺんてる筆 すき穂」はやめて、「ぺんてる筆 中字」を使うことにしました。
逆筆を意識した
添削で何ヶ所も指摘されたのが、「逆筆」でした。
入筆に筆圧が欲しい場合、逆筆にします。
結局マスターできませんでしたが、重点的に練習しました。
筆ペン講習会に参加した
清書前に、可能であれば2回目の添削していただいたいという思いもあって、4月23日の筆ペン講習会に参加しました。
添削は1人2点まででした。
筆ペン講習会ということで、皆さん筆ペン作品を添削していただいていました。
私以外にも筆ペン2部の作品を添削していただいている方が何人かいらっしゃり、近くで様子を拝見してとても参考になりました。
そして、清書直前に添削していただいたことで、ほんの少しクオリティを高められたかな?と思います。
手紙文部1部
お手本の字間を調整した
添削を受けたときに、「わずかに字間をつめてよいように思います」とのコメントをいただきました。
普段から字間を広げてすぎてしまい散漫になりがちな私、ものすごく納得。
それじゃあどうやって字間をつめよう?と考えました。
自分なりに考えた結果、「上下3ミリ空ける」作戦で行くことにしました。
お手本を切って、空きすぎているよう感じたところは、少しずつ上に詰めながら貼っていきました。
この手間がかかる作業は大幅な時間ロスに感じられましたし、博打でもありました。
良し悪しは未だ不明ですが、どうやら賭けには勝ったようです。
つけペンで抑揚をつけて書いた
昨年ペン展で手紙文1部の作品を拝見したとき、つけペンで書かれていた作品が美しく印象に残りました。
私も挑戦するなら、つけペンで!と考えていました。
今回ペン先は、「日光 サジクローム(No.357)」を選びました。
月例課題でも時々使っていて、わりと使い慣れていたのも良かったのでしょう。
線の表現力はまだまだですが、つけペンらしさは出せたかな?と思っています。
リンク
枚数少ない分集中して書けた
添削こそお願いしていたものの、手紙文部への出品を決心したのは3月後半でした。
本命は規定部と筆ペン部でしたので、十分な時間は確保できそうにありませんでした。
一字一字練習する暇はなく、出品用紙にそのまま通して書いて練習していきました。
1枚書くのに約20分かかり、文字数が多いため集中力が求められました。
普段の清書ではガーッと何枚も連続して書いてしまう私でも、1度に4枚くらいがMAXでした。
書き込み不足のまま、新学期が始まった翌週を手紙文部清書週間としました。
手紙文部の出品用紙は、昨年試しに購入した1組と、今年買った1組で、40枚しかありませんでした。
練習で半分ほど使ってしまったので、残り20枚。
全2ページあるので、1ページあたり10枚。
枚数が少なく失敗できない分、集中して書けたことが功を奏したのかもしれません。
後日談なのですが、実はもう2組追加で用紙を買っていたことに、出品後気づきました。
届いたと同時に、子どもの手が届かない場所に閉まったことを忘れておりまして・・・(;´д`)トホホ
3ヶ月間の練習内容
その日書いた枚数を部門ごとに、スプレッドシートに記録してきました。
書いた枚数は、見る方によって少ないとも多いともとれますかね。
コロナ、確定申告、仕事の依頼、春休み、急な帰省、進級準備、半日登園・・・今年の春もいろいろありました。
ペンの光は、4月号は1部門減らしたながらも、休まず出品しました。
筆ペン部昇格試験も受けることを決めましたが、ペン展を最優先としたスケジュールを立てました。
さいごに
今回や前回までのペン展の結果を振り返ると、「毎月ペンの光で上位(写真版)の方は、ペン展の成績も上位のケースが多い」ことに改めて気づきました。
・・・というのは、当然といえば当然なのかもしれませんね。
日ペンのペンの光で高く評価される実力があれば、日ペンのペン展でもまた然りです。
私の場合、ペンの光の成績が思わしくない月が多かった(=実力不足)昨年は、ペン展の結果もそれなりでした。
ペンの光の成績が徐々に上がってきた(=実力がついてきた)今年は、良い結果となりました。
毎月地道にペンの光の課題に取り組み続けることが、ペン展での上位受賞への近道となるのではないでしょうか(師範以上になるとまた別次元の気がしています)。
今回私は、ペン展のために何か特別な対策をしてきたわけではありません。
- 毎月ペンの光を中心とした学習を続ける
- ペン展課題が発表されたら、約3ヶ月間集中して取り組む
長くなってしまいましたが、読んでくださりありがとうございました!
↓出品作品と結果はこちら