しばらく前のことになりますが、万年筆ペン先職人・長原幸夫氏のペンクリニックへ行ってきました。
きっかけはツイッターで、The nib shaper事務局(@thenibshaper)さんにフォローしていただいたことでした。
事務局さんのツイートを眺めていると、
- 初心者でも安心して行って大丈夫
- 長原先生の技術は確かなもの
- 無料のペンクリニックではできないようなすごいカスタマイズも可能
- ペリカンの字幅を細くしていただける
- 長原先生は女性に優しい(笑)
ということが分かり、ペンクリニックの開催を心待ちにしていました。
幸いその機会が訪れ、大切な2本の万年筆を調整していただきました。
実際にペンクリニックに行ってみて、万年筆がどのように生まれ変わったのか、紹介していきますね。
1本目:パイロット エラボー EF
調整前:ガリガリして書きづらかった
ペン習字用に使いたいと思って購入したエラボー。
ところが、どうしてもガリガリ引っかかる感じがあり、使いこなすことができませんでした。
昨年、無料のペンクリニックに持っていき、少しは改善されたのですが、やはり書きづらく・・・。
最後の望みをかけて、見ていただくことにしました。
調整中
書きづらいことをお伝えしたところ、さっそく目の前で調整がスタートしました。
快く写真OKの許可をいただきましたので、掲載させていただきますm(_ _)m
中央の緑色の部分が高速で回転していて、ペン先を当ててじっくり削っていきます。
こちらの向きから眺めている方が、作業の様子が見やすくて面白かったです。
調整後:なめらかに書けるようになった
どうやら、ペンポイントの左右の長さが異なっていたことが原因で、書きづらかったようでした。
字幅はSEF(極細)なので、ごくごくわずかな差だったのでしょう。
パイロット エラボー 調整前/調整後の比較
ちょっとピントが合っていないのですが、載せておきます。
素人が肉眼で見たところで、見た目上の変化は分かりませんが、先端がシュッとした気がします(気のせい?)。
微調整だったため、書いても変化は分かりづらいですね。
もっと分かりやすい画像も貼ってみます。
しばしば左払いが引っかかってかすれ気味になっていたのが・・・
スムーズに書けるようになりました!
料金:基本料 3,000円(Aプラン)のみ
2本目:ペリカン スーベレーン M600 EF
調整前:少し太くて使用頻度が低かった
海外の万年筆は、国産の万年筆に比べて字幅が太いです。
いつか手に入れたいと憧れていて、奮発して購入したペリカン スーベレーン。
見た目も書き味も好きだったのですが、字幅がやや太いため、使う機会が少なくなっていました。
ですが、私が持っている万年筆の中で一番お値段が高かったこともあり、思い切った形状変更にはためらいがありました。
それでも、このまま使わずに眠らせておくのはもったいなく、もっと使ってあげたいという気持ちの方が上回りました。
長原先生であれば安心してお任せできそうだと感じ、字幅変更をお願いしました。
調整中
スーベレーンもエラボーと同様、機械で削られていきました。
調整中の会話の中で、
- メーカーの無料のペンクリニックは整体のようなもの
- 長原氏のペンクリニックは病院のようなもの
と話されていたのにとても納得し、印象に残っています。
私の前のお客さんは、普通の万年筆をふでDEまんねん化してもらっていました。
無料のペンクリニックでは、そこまでの大掛かりなカスタマイズは不可能でしょう。
調整後:細くなって使いやすくなった
細く削ることで、ペリカンならではのスルスルなめらかな書き味が損なわれてしまうのでは・・・と不安でしたが、心配無用でした。
細くなっても紛れもなくペリカンのままで、良さは健在!
字幅が細くなることで若干書き味は変わりましたが、カリカリ書きづらいなんてことにはなりませんでした。
料金:基本料 3,000円(Aプラン) + 字幅変更 4,000円(Bプラン) = 7,000円
ペリカン スーベレーン M600 調整前/調整後の比較
違いが分かりづらいかもしれませんが、ペンポイントの丸い部分が小さくなったように見受けられます。
明らかに、一回り細くなっていることが分かります。
まとめ:生まれ変わった万年筆に大満足!
万年筆歴の浅い私。
常連さんのようにたくさん金ペンを持っているわけでもなく、万年筆に関する知識も多くなく、有料のペンクリニックは少々敷居が高いと感じていました。
しかし実際に行ってみて、希望通りに万年筆を調整していただき、大満足の仕上がりとなりました。
THE NIB SHAPER 公式サイト:http://thenibshaper.com/
「趣味の文具箱 Vol.53」には長原氏のインタビューが掲載されていますので、興味のある方はぜひ☆