先日こちらの記事にも書いていましたように、規定部師範試験に挑戦しました。
そしてとうとう、長年目標としていた 師範に合格 することができました!
実際に提出した作品や、結果が届くまでのスケジュール、師範試験に挑戦しての感想やまとめを記録しておきます。
作品はどれも難ありで、美しく書けたわけではないので、「この程度でも合格できたんだな〜」くらいに見てやってください。
今後師範試験を受けられる方、特に独学の方の参考になればいいなと、試験を受けた過程や感想を述べていますが、受験に当たって直接指導を受けたわけでもなく、未熟者ゆえ見当違いの内容もあるかもしれません。
あくまで個人で試験に挑戦する中で、私はこうした、こう思った、という話ですので、その辺ご理解いただければと思います。
提出した作品
第一問
ボールペンとつけペンで迷いましたが、つけペンのほうが線が綺麗に出たので、使い慣れているこのペン先で書きました。
1枚書くのに約20分かかっていました。
下敷を作成して真っ直ぐ書いたつもりでしたが、引きで見ると曲がっているような・・・。
第1問の感想
いつもの漢字部の課題よりも文字が多く、ノーミスで1枚書き切ることは今の実力でこの時間のない中では無理だと悟りました。
限られた時間と枚数の中で、今のベストを出せるように頑張ろうと、気持ちを前向きに切り替えて清書しました。
第1問の対策
毎月漢字部で楷書、行書、草書の三体を書いてきたことが、試験対策にもなっていたと感じます。
特に草書は、他ではなかなか練習する機会がありませんので。
規定部の師範になれさえすればそれでいいやと、もし規定部1部門しか練習してこなかったとしたら、間違いなく試験で行き詰まっただろうと思います(第1問以外でも)。
第二問
連綿もまぜて書かなければいけない第2問は、つけペンで強弱をつけて書きたいと決めていました。
あれこれ書き比べした結果、最終的にシュタインペン(廃盤品)を選びました。
1枚書くのに約15分かかっていました。
連綿は不自然にならないように、同じ漢字が出てきたら形を変化させるように、など意識しました。
あとは添削で朱が入った部分を重点的に、書き込んでいきました。
第2問の感想
連綿も行書も、お手本なしで自分で考えて書くのは不安だらけでした。
添削のおかげでだいぶ不安感は軽減され、新たな気づきも数多くありましたので、やはり添削お願いして良かったなと思いました。
第2問の対策
普段から、手紙実用部で縦書き連綿に慣れておくとよいと思います。
偶数月の受験部たて書きでは、左端に連綿のお手本も載っていますので、積極的に連綿にチャレンジしてみるのも勉強になります。
私はペン展でもっと大きいサイズの用紙に練習してきたおかげで、長くて辛いとは感じませんでしたが、その経験がなければもっと苦労していたでしょう。
ペン展規定部や、ペンの光自由作品部など、B5以上の大きな用紙に書く経験を積んでおくと、師範試験のハードルも少しだけ下がるかもしれません(第2問に限らずです)。
第三問
サラサとつけペンの両方で清書したのですが、最終的にはサラサで書いたものの方が仕上がりが良かったので、そちらを選びました。
1枚書くのに約20分かかっていました。
オンライン講習会の添削で、字形や文字の大きさがまだ整っていないとの指摘を受けたので、整えることを意識して練習しました。
字間もなかなか揃わず、書きながら微調整していきました。
第3問の感想
苦手な横書き、整わず苦労しました。
第3問の対策
私が苦手な横書きの第3問を書き上げられたのは、奇数月の受験部で横書きを練習してきたおかげです。
横書き(に限らずですが)、何日か練習したところですぐに整って書けるようなものではありません。
私は受験部ヨコ書きは2級スタートで、1級に安定するまでに1年くらいかかりました。
たとえ苦手でも少しずつでも横書きに慣れていけば、試験も同じ要領で書くことができるでしょう。
第4問
黒のボールペンはたくさん持っている一方で赤は少なく、字幅0.3mmの赤はサラサのみでした。
添削用に新しく買うことはせずに、書き慣れているいつもの赤ペンを使うことにしました。
方眼が印刷されているソフト下敷を使い、まっすぐ書くことを心がけました。
範書を書くのにも役立ちました。
(1)小学6年生『学年習字』準初段
添削、ましてや小学生の添削なんて、どう指導するのが正解なのか全くもって心得ていませんでした。
そこで参考にしたのは、『学年習字』の2022年4月号。
会長が書かれた「ゆっくり増加」のお手本をじっくり観察し、「注意すること」を読んでいるうちに、いろいろと見えてきました。
次に、6年生の写真版のページの下部の「競書評」もチェックしました。
褒め方など、とても参考になりました。
実際に添削する上で、自分なりに意識したポイントは下記です。
意識したポイント
- 小学生なので、基本はなるべくたくさん褒めたい。
- もう6年生かつ段位なので、修正すべきところはちゃんと修正したい。
- コメントは小学生でも理解しやすい平易な文に。
- 小学生でも違和感なく読みやすい字形に。
- これぞという字には大きな花丸をつけてあげたい。
私は大人っぽい書きぶり(硬筆書写テキストなら1よりも2のひらがな)が好みですが、今回は「こども美文字練習帳」で字形を一字一字確認して書いていきました。
会長手書きの「ひらがなお手本表」「カタカナお手本表」「学年別お手本表」が巻末についているので、探しやすいです。
(2)成人『ペンの光』規定部1級
『ペンの光』2022年4月号の級位クラスのお手本を参考にしつつ、自分が級位だった頃を思い出し、添削していきました。
意識したポイント
- 何でもかんでも指摘せず、良いところは褒める。
- 必要に応じて範書を書く。
第4問の感想
一番頭を使って考えて悩まされたのが、この第4問でした。
書けていないところを見つけるだけなら簡単、何なら全ての文字を修正したくてウズウズ。
そんな気持ちを抑えて、どれくらい朱を入れようか、何度も実際に書いて考えていきました。
それと同時に、1日に何枚、何十枚と添削されている先生方って本当にすごいなぁ・・・と尊敬の念を抱かずにはいられませんでした。
私が講習会などでこれまで見たことのある第4問の答案は、私のものよりずっとあっさりしていました。
だからこそ、これでは一目見たときに全体的に「赤っ!」という印象で書き込みすぎ、模範にはならない答案だろうなと感じています。
でも、私個人としては、おかしいところはたくさん直してくださった方がありがたいですし、褒めていただけると自信とやる気が出てきます。
減点されてもいいから、最低限伝えたいことはしっかり伝えたい!
その結果仕上がったのが、こちらの答案でした。
それから意外に苦戦したのが丸です。
日常で丸をつける機会などなく(自己添削するにしても丸はつけたためしがない)、特に花丸なんてかなり不格好になってしまい、今回は形が整わないまま妥協してしまいました。
第4問の対策
独学の方も、級位〜段位のうちから、何度か添削指導を受けておくべきでしょう。
自分がいざ添削するときに、非常に参考になるのはもちろんのこと、
朱を入れていただいて返ってきた作品を見たときに、どう感じたか。
これ、バランスの良い添削を考える上で、結構大事な気がします。
朱が多いときに感じたこと、朱が少ないときに感じたこと、どのような一言が嬉しかったか、やる気が出たか、逆にがっかりしたか・・・などなど。
これまで自分が受けた添削作品を見返すことも、ネット上で他の方の添削を見せていただくことも、ヒントになりました。
第5問
日ペンのボールペン習字講座の受講中から愛用してきたエナージェル0.4mm、師範試験でもぜひとも使ってあげたい気持ちがあり、第5問で使用することにしました。
(A)旧字体(B)書写体は字典から、(C)ひらがな・カタカナの元の漢字は、硬筆書写テキスト1のカタカナの表と硬筆書写テキスト2のひらがなの表から、それぞれ調べて書きました。
礼の旧字体「禮」は手書きということでへんは「示」ではなく「礻」で書いたのですが、他の合格者の解答を拝見した限り、皆さん「示」で書かれていました。
・・・素直に「禮」にした方が良かったのかな?「礻」でもOK?分からずです。
楷書なので、お手本を見ながら一画一画丁寧に書くように心がけました。
第5問の感想
調べて書きましたが、全問正解しているかは最後まで不安が残りました。
「奈」の漢字が2つになってしまったのも、ひっかけじゃないかとすごく不安でした。←小心者!
第5問の対策
私は硬筆書写技能検定2級を受験していたことで、(A)の旧字体と(B)の書写体に対する不安のようなものは感じずに済みました。
検定の勉強をしていなかったら、旧字体?書写体?何それ!?!?と戸惑っていたと思います。
(C)のひらがな・カタカナの元の漢字も同様で、検定だとひらがなだけでしたが、勉強していたおかげで安心して答えることができました。
第5問は調べれば答えが出てきますので、わざわざ対策は必要ないかもしれませんが、知っておくに越したことはないと思いました。
書歴
ボールペン習字講座の受講開始月=日本ペン習字研究会入会としました。
「〇〇先生に師事」は、日ペンとは別の会で通信指導を受けている先生なので、書くべきか非常に迷った部分でしたが、今の自分の字があるのは先生のおかげでもありますし、審査員の先生方もお名前存じ上げているでしょうから、記載しました。
規定部の試験なので、五段、推薦、準師範の昇格は全て記載し、筆ペン部に関しては最新のものだけ記載しました。
・・・というのも今年のペン展だけで4行になってしまい、これらはどれも書いておきたい賞でしたので。
あまり窮屈にならずにすっきりまとめられたと思いますが、受賞歴に見合わない自運の下手さが残念です。
提出前に余裕があれば書き直したいと思っていましたが、再び書く気力など残っていませんでした。
小論文
400字をだいぶオーバーしてしまい、無理やり削って1枚に収めました。
そのため文章読みづらい箇所もあるかと思います。
なるべく丁寧に書くよう心がけましたがこの文字数なので、字形が崩れた字もちらほらありました。
師範試験に挑戦しての感想・まとめ
昇格試験よりも余裕がなかった
課題が発表になってから締め切りまでは2ヶ月弱。
お手本作成から始まり、B5サイズの答案5枚を仕上げなければなりません。
昨年秋に規定部の昇格試験を受けたときに比べ、はるかに時間が足りませんでした。
なるべくたくさん書き込みたいと思っていましたが、書き込む余裕もなく次々清書することになってしまいました。
答案用紙で練習
紙についてはあまり詳しくありませんが、師範試験答案用紙は普通のコピー用紙よりも上質で、独特の書きやすさがある紙でした。
普段の競書用紙とも違った紙質で、いつもと同じペンを使ってもやや太めにくっきり、強弱がつけやすい感じがしました。
個人的には、ペン先はクロームよりもニュームがしっくりきました。
それと、インクが乾きにくく、こすってしまわないように注意が必要でした。
答案用紙の紙質に慣れておくためにも、練習から答案用紙を使った方がいいだろうと判断しました。
私は答案用紙のセットを3部購入しましたが、白紙20枚×3では心もとなかったです。
(白紙だけのセットが売っていれば・・・!原稿用紙はたくさん余ってしまいました。)
ありがたくも師範の先輩から白紙を約40枚おすそ分けいただきまして、安心して練習することができました。
さまざまな筆記用具を使いたかった
師範なら、どんなペンでも使いこなしたい!という憧れが自分の中でありました。
あくまで憧れで、私自身は使いこなせないペンも未だ多いわけですが・・・。
それでも、つけペンは苦手とか、つけペンでは書けてもボールペンは下手とか、そういうふうに偏ってしまわないように練習してきました。
そして師範試験でも、つけペン・ボールペン・万年筆の3種は使いたいと考え、答案によって異なるペンを使って仕上げてみました。
師範試験課題の格納方法
昇格試験のときに使用したセクションファイルが、書き終えた紙を格納するのに便利でしたので、今回も100均でファイルを買っておきました。
用紙はB5サイズですが、ファイルもB5だとぎゅうぎゅうになってしまうので、A4サイズのものを。
書いた紙を問題ごとに分けて片付けていきました。
初めて手に違和感を覚えた
私は集中して一気に書く(1〜2時間連続して書き続ける)ことが多いのですが、筆圧強めのわりに手を痛めるようなことは一度もありませんでした。
それが師範試験の練習中に初めて、右手首の親指側に、わずかな違和感を覚えました。
まだ痛みを感じるほどでありませんでしたが、このまま酷使していたら腱鞘炎になりかねないな・・・と焦りました。
数日間湿布を貼って、無理の生じない範囲で書くようにしていたら、幸い違和感はなくなりました。
普通に書けることのありがたみを実感し、むやみやたらと書きまくることは禁物だと反省しました。
自分の書けなさを思い知らされた
納得の行く答案を提出できたかと言われると、答えは全力で「NO」です。
書けば書くほど、自分がどれほど書けていないか、書けないか、気づかされました。
普段の競書とは違って、与えられたお手本もありませんので、明確なゴールが見えない中でよく考えながらよりよい答案を目指すことに苦労しました。
合格可能なレベルには仕上げたつもりでしたが、一つの作品として見たら美しさに欠けますし、実力の足りなさが見て取れます。
試験を通して、少しでも師範に近づくための集中トレーニングをしている気分になっていました。
結果が届くまでのスケジュール
練習した日と書いた枚数
師範試験期間中の練習枚数の記録を貼っておきます。
↑赤字は各部門の清書を終えた日です
師範試験を優先させたく迷っていたWEB展は、土壇場で1部門出品。
ペンの光もお休みしたくなく、8月号は5部門、9月号は5部門、10月号は7部門出品しました。
こうして振り返ってみると9月は、書くまでの準備→添削→添削作品返却であまり書き込めずでした。
初めての師範試験で要領を得ていなかったので仕方ないですが、この期間をもっと短縮できていれば、後半もう少し余裕を持って清書できていたことでしょう。
10月は、毎日頑張って書いていました(もはや細かいことはよく覚えていない)。
2022年10月20日 必着
20日(木)必着でしたので、その前の週には投函したいと思っていました。
12日(水)に清書を終え、13日(木)に郵送しました。
重さは50g超え、家には120円までの切手しかなかったので、郵便局へ行ってきました。
定形外で140円でした。
定形外郵便物
- 50g以内:120円
- 100g以内:140円
またもや郵便局の窓口の方に、
とたずねられました!
そして宛先を見たからでしょう、
・・・説得力ありますね!
と言っていただけました♪
2022年11月7日 受験料払込用紙が届く
受験料(12,100円)の払込用紙が先に、白い封筒で届きました。
忘れていましたが、昇格試験よりも受験料はアップするんでしたね。
試験結果については、「11月11日以降、発送予定」と書かれていました。
2021年11月15日 昇段試験結果通知書が届く
11日(金)以降発送なら、早くて14日(月)かな?とドキドキしていました。
結局14日には届かず、15日(火)に郵便受けを見たところ、例の茶色の封筒が届いていました。
宛名が雅号になっていました!
予想通り中身は、昇段試験結果通知書・・・
師範に昇格!!!!
さいごに
日ペンの師範試験は、大変ではありますが、硬筆検定1級のように難しくて合格率の低い試験ではありません。
準師範になるまでに少しずつ実力をつけてきたら、丁寧に取り組めば合格可能な試験です。
かつての私のように、「こんな試験とてもじゃないけど無理!」と今は思っている方でも、その時がくれば案外どうにかなるものですよ。
今回同じタイミングで受験した皆さんと一緒に合格できたこと、嬉しく思っています。
ひとまず規定部師範になるという目標は達成できましたが、ここからが新たなスタートです。
今後の抱負などはまた別の機会に。
最後までお読みくださり、ありがとうございます!